睡眠時無呼吸症候群(CPAP)

経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)とは

『Continuous Positive Airway Pressure』の頭文字から一般的にはCPAP(シーパップ)と呼ばれており、日本語では経鼻的持続陽圧呼吸療法と表記されます。日本や欧米では、いびきや閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療法として最も多く行われています。
CPAP療法では、専用の装置につながったエアチューブが付いたマスクを装着し、睡眠中に陽圧をかけて上気道が開いた状態を保って狭窄や閉塞を防ぎます。
マスクを装着して眠ることに苦しそうなイメージを持つ方が多いのですが、問題なく治療を続けることができます。違和感が気になる場合には、マスクの種類の変更やフィッティングをやり直すことで、改善が見込めます。また、より精密に合わせるために、フィッティングや機械の設定を1泊入院して行うタイトレーションも過去には、行われてましたが現在では、慣れていくことが第一優先で、段階的にタイトレーションを行っております。
日本では、CPAP療法が保険適用されており、医療機関から装置をレンタルし、ご自宅で使用するようになっています。医療機関や保守会社が保守管理や消耗品の補充を行いますので、安心してお使いいただけます。ただし、マスクやエアチューブを清潔に保つための日々のケアは患者様が行う必要があります。

CPAP療法の効果

いびきの改善や消失、無呼吸や低呼吸の改善によって睡眠の質が大幅に改善され、熟睡感を得られます。使用をはじめてすぐに、起床時のすっきりした目覚めに驚かれるケースもあります。日中の集中力向上、日中の眠気がなくなる、仕事や学業の効率上がる、疲れにくくなる、生活習慣改善の効果があらわれやすくなるなど、様々な心身の状態改善も期待できます。
なお、重症の睡眠時無呼吸症候群でCPAP療法を受けると、受けなかった場合に比べ平均寿命に有意な差を認め、長期的なCPAPの使用が寿命に影響を及ぼすことが分かっております。

CPAP療法の注意点

CPAP療法は、いびきや無呼吸・低呼吸の改善に大きな効果を得られますが、根治治療ではなく、中断すると再び症状を起こします。CPAP療法で良質な睡眠を確保し、その間に生活習慣を改善して肥満を解消するなどを行うことで、体質改善を行えます。CPAP療法を行うことで生活習慣改善の効果を得やすくなりますが、それでも十分な効果を得るためには長い時間がかかり、その間良好な状態を保つためにCPAP療法との付き合いも長くなります。
CPAP療法では、毎晩、マスクを装着して眠ります。装着感は睡眠の質を確保するためにも重要なポイントになります。呼吸がしやすくてもマスクの違和感が強ければ睡眠の質が低下してしまい、十分な効果を得られなくなってしまうからです。
CPAP療法では、患者様にマスクが心地よくフィットし、装置から送られてくる空気の圧力も最適に調整することが必要です。些細なことでも気になる点がありましたら医師に相談し、快適に使えるようにしましょう。

定期的な受診が必要です

CPAP治療を受けている場合、定期的に受診する必要があります。不快感や違和感、機器に関する気になることなどがあれば、改善のための対処を行います。たとえば、マスクの種類を変える、装置の設定を微調整するなどの対応が可能です。

CPAP装置のお手入れ

直接肌に装着するマスクやエアチューブは患者様ご自身によるお手入れが必要です。しっかりケアして清潔を保ってください。簡単な掃除の仕方などが取扱説明書に解説されていますので、それを参考に適切な頻度と内容のお手入れを行ってください。

現在、CPAP治療を受けている患者様へ

睡眠時無呼吸症候群と診断され、CPAP治療を行っている方で、引っ越しなどで通院している病院が遠くなった、待ち時間が長く定期受診のスケジュールを作るのが難しいなどのお悩みを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。当院では、こうした理由から他院からの転院をお考えの方に対しても積極的な治療を行っております。
当院では、帝人、フクダライフテック、フィリップスという3メーカーの装置に対応したCPAP療法を行っています。宮前平駅から徒歩1分にあり、駐車場も完備していますのでアクセスしやすい立地です。また土曜日も午前中の診療を行っていますので、お忙しい方も受診が可能です。CPAP療法で定期的な受診をされる方がスムーズに診療を受けられるよう配慮していますので、ご相談ください。

CPAP治療中によくあるご質問

CPAP装置について、使用感、鼻や目、口、耳の違和感など、様々なご相談を受けます。代表的なものを挙げておきます。

マスクに送られてくる空気が気になる

一昔前の装置は、一定の圧力で空気を送り続けていたため、息を吐く呼気の際にも空気が入ってきて違和感を覚えるケースがありました。しかし、最新の機器では、呼吸に同調して圧力を調整する機能が備わっており、違和感が格段に減っています。さらに装置は設定の微妙な調整が可能です。

お腹が張る

装置から送り込まれる空気を飲み込んでしまい、お腹が張ることがあります。おならが増えたという相談を受けることもあります。装置の圧力設定を変更することで、症状改善が見込めることもあります。

マスクを装着する鼻周囲がかぶれる

マスクを締め付けすぎると刺激によってかぶれることがありますので、フィッティングの調整やマスクの種類変更などによって解消できることが多くなっています。医師に相談してください。

鼻の通りが悪い

CPAP療法は、鼻から空気を送り込むので、鼻呼吸をすることが前提になっています。アレルギーや副鼻腔炎、花粉症などで鼻づまりがある場合、鼻の症状を治療で改善する必要が生じることもあります。必要な場合には、連携している耳鼻咽喉科をご紹介しています。

鼻や喉が乾燥する

最新の機器にはタンクに水を入れて送り出す空気を適切に加湿する機能がついています。冬季の乾燥を伴う時期には、鼻の乾燥が起こることは減っています。ドライマウスがある場合、口呼吸をしている可能性があります。加湿器を使って部屋自体の湿度を上げると改善できることもあります。

ドライアイやドライマウスになった

マスクから漏れた空気が目や口を乾燥させてしまうことがあります。マウスフィッティングや装置の調整などを行って、マスクから空気が漏れないようにしましょう。

耳鳴りがする

耳と鼻は耳管という細い管でつながっています。トンネルや飛行機で耳が詰まった際や、ダイビング中に行う耳抜きはこの耳管を一時的に開いて中耳内の気圧を変えています。CPAP装置から送られてくる空気には圧力がかかっているため、耳管を通じて耳に抜け、耳鳴りなどの不快感を起こすことがあります。装置の調整によって改善できることもあります。当院までご相談ください。

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