夜間頻尿

夜間頻尿

夜寝ている間に尿意によって目覚め、起きて排尿する場合、夜間頻尿とされます。夜間頻尿は排尿障害でも多く、主な原因には夜間尿量が多い多尿、膀胱容量の減少、睡眠時無呼吸症候群などがあります。高齢男性においては、前立腺肥大による頻度が多く見られます。

夜間頻尿の原因多尿

過剰な水分摂取によって生じることもありますが、糖尿病や高血圧、うっ血性心不全、腎機能障害などでも生じることがあります。加齢や体質の問題と軽く考えられてしまうことが多いのですが、疾患が背景にないか調べることが重要です。

膀胱容量の減少

膀胱粘膜の柔軟性が失われて膀胱で溜められる尿の量が少なくなって夜間頻尿を起こすことがあります。また、夜間には尿を濃縮させるホルモンが分泌されますが、このホルモンの分泌が不足して薄い尿が大量に作られてしまい膀胱の容量が足りなくなることもあります。さらに、膀胱の知覚過敏が生じ、十分な量の尿が溜まっていなくても尿意を感じてしまうケースもあります。
こうした症状は、過活動膀胱、前立腺疾患、膀胱炎、脳や脊髄の疾患などが疑われます。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群では睡眠中に無呼吸を頻繁に起こします。無呼吸で血液中の血中酸素飽和量が低下すると、血圧や心拍数が上昇し、交感神経が優位になります。睡眠中は本来、副交感神経が優位になって尿意を感じにくくなり、膀胱に日中よりも多くの尿を溜めることができますが、交感神経が優位になると尿意を感じやすくなって夜間頻尿を起こしやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群は、無呼吸を繰り返すことで脳をはじめとした全身が酸素不足の状態になります。無呼吸によって本来であれば脳や全身を休息する睡眠時間に無酸素運動を繰り返しているような状態になり、心臓などにも大きな負担をかけます。それを繰り返すことで様々な深刻な疾患のリスクを上昇させます。また、睡眠の質が大きく低下して日中に激しい眠気に襲われ、集中力が大幅に低下してQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下や事故を起こすリスクも上昇してしまいます。睡眠時無呼吸症候群は、適切な検査によって診断して、効果的な治療によって無呼吸の症状を解消できる疾患です。当院では、ご自宅で可能な簡易検査に行って診断し、欧米や日本で主流となっているCPAP療法による治療を行っています。お気軽にご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群

夜間頻尿の検査

当院では、問診で睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、睡眠中の呼吸や血中酸素飽和量を把握するためにご自宅で可能な簡易検査を行っています。検査機器を貸し出し、ご自宅で就寝時に顔手や顔にセンサーをつけて就寝するだけで、睡眠中の呼吸や血中酸素飽和量を計測して記録でき、返却された機器のデータを解析して診断します。入院の必要ないなど、楽に受けていただける検査です。
なお、簡易検査では診断できないケースもあり、その場合には詳細なポリグラフィー検査を行う必要があります。1泊入院して受ける検査であり、心電図、脳波、血中酸素飽和量、腕・胸・足・眼球・筋肉の動きと呼吸運動、鼻や口を通る気流、いびきの音、姿勢などを詳細に調べて解析し、診断します。簡易検査と同様に寝ている間に検査ができ、お身体への負担もありません。ポリグラフィー検査などは、必要に応じて連携する医療機関へご紹介させていただきます。

夜間頻尿の治療

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、当院ではCPAP療法を行っています。これは睡眠時に専用マスクを装着し、エアチューブから上気道に空気を送り込む装置を使った治療です。現在、睡眠時無呼吸症候群の治療として欧米や日本では主流になっている治療であり、短期間で無呼吸の症状が解消し、上質な睡眠をとれるようになると期待されています。
また、軽度の場合には、下記のような生活習慣の改善で十分な効果を得られる場合もあります。

睡眠時無呼吸症候群(CPAP)

 

生活習慣などの改善

  • 飲酒量や回数を減らす
  • 就寝時は横向きになる
  • 肥満の解消と標準体重の維持
  • 副鼻腔炎など鼻疾患の治療
  • 口呼吸の治療

など

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