喉が渇く

喉の渇きは、身体の水分不足だけでなく、口呼吸によるドライマウスや睡眠時無呼吸症候群糖尿病などで生じることがあります。
また、口でも呼吸することはできますが、呼吸は本来鼻で行うものであり、鼻で呼吸することで肺に負担がかからない湿度や温度の空気を送ることができます。また、鼻毛や繊毛、粘膜や分泌物の働きによってホコリ、細菌やウイルスといった病原体の侵入を防ぐ効果も得られます。
口呼吸では口内が乾燥するドライマウスを起こし、歯周病や虫歯の発症や進行リスクも上昇します。正しい呼吸を起床時および睡眠中に行うことで、喉の渇きを軽減しましょう。

喉の渇きの原因

鼻づまり

風邪や花粉症などのアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などによる鼻づまりで、口呼吸になり、口内が乾燥して喉が渇くことがあります。アレルギー性鼻炎を起こすアレルゲンには、ダニ、ホコリ、ペットの毛・唾液・フケ、花粉などがあり、アレルゲンを吸い込むことで過剰な免疫反応が起こって、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどを起こします。アレルギー症状を抑えるための薬を使った治療も行いますが、検査でアレルギーを起こすアレルゲンを特定し、それを避けることが重要です。

口腔内乾燥症

唾液の分泌低下によって、口内が乾燥してしまう状態で、ドライマウスと呼ばれることもあります。口臭や虫歯、歯周病のリスクを上昇させ、進行すると舌の表面がひび割れて、摂食障害につながることもあります。加齢やストレスなどで生じることもありますが、糖尿病、シェーグレン症候群、腎機能障害、更年期障害といった疾患や薬の副作用で起こっている可能性もありますので、気になる症状がある場合には、早めにご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群

起床時に口内が乾燥している場合、寝ている間に口呼吸になっている可能性があります。その場合、代表的な疑われる疾患が睡眠時無呼吸症候群です。睡眠時無呼吸症候群では、寝ている間に無呼吸を頻繁に繰り返し、口呼吸になっていることが多くなっています。
無呼吸は10秒以上の呼吸停止であり、睡眠中の1時間に5回以上、または7時間の睡眠で30回以上あると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。放置していると心筋梗塞や脳卒中などのリスクを症状させてしまう疾患ですが、適切な検査によって診断を受けることで、無呼吸の改善効果の高い治療が可能になります。
当院では起床時に口内が乾燥している方の問診で睡眠時無呼吸症候群が疑われる症状がある場合、ご自宅でできる簡易検査を行い、適切な治療につなげています。お気軽にご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群

糖尿病

糖尿病は、血中のインスリン不足やインスリンの働きが十分に機能しなくなって生じます。インスリンは、エネルギー源である糖分を細胞に届ける役割を持っていますので、全身の細胞にエネルギー不足が起こります。消費されない糖分が過剰になる高血糖の状態が続くことで動脈硬化を進行させて心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが高くなり、同時に毛細血管にもダメージが蓄積して、失明や足の壊死、透析などにつながる合併症を起こすこともあります。
高血糖になると尿にも糖分が漏れて、尿量が増える多尿を起こし、脱水傾向になって強い喉の渇きを感じ、多飲多尿の症状を起こすこともあります。強い喉の渇きを感じることが増えた場合には、糖尿病がかなり進行している可能性があります。できるだけ早めに受診してください。

糖尿病

喉の渇きの検査

当院では、問診で睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、ご自宅で可能な簡易検査を行っています。この検査は、睡眠中の呼吸や血中の血中酸素飽和量を把握するために検査機器を貸し出し、ご自宅で就寝時に顔手や顔にセンサーをつけて眠るだけで、睡眠中の呼吸や血中酸素飽和量を計測して記録します。返却された機器に記録されたデータを解析して診断できます。入院の必要がなく、楽に受けていただける検査です。
なお、簡易検査では診断できない場合には詳細なポリグラフィー検査によって診断が可能です。1泊入院して受ける検査で、心電図、脳波、血中酸素飽和量、腕・胸・足・眼球・筋肉の動きと呼吸運動、鼻や口を通る気流、いびきの音、姿勢などを詳細に調べ、データを解析して診断します。簡易検査と同様に寝ている間に検査ですので、お身体への負担もありません。当院では、必要に応じて連携する医療機関へご紹介させていただきます。

喉の渇きの治療

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、当院ではCPAP療法を行っています。現在、睡眠時無呼吸症候群の治療として欧米や日本では主流になっている治療法であり、睡眠時に専用マスクを装着し、エアチューブから上気道に空気を送り込む装置を使って行う治療です。この治療によりほとんどの場合は、短期間で無呼吸の症状が解消し、上質な睡眠をとれるようになります。
また、軽度の場合には、下記のような生活習慣の改善で十分な効果を得られる場合もあります。

  • 飲酒量や回数を減らす
  • 就寝時は横向きになる
  • 肥満の解消と標準体重の維持
  • 副鼻腔炎など鼻疾患の治療
  • 口呼吸の治療

など

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